要注意!印刷物の色合わせに失敗する4つの行動と解決法

2017年09月28日

要注意!印刷物の色合わせに失敗する4つの行動と解決法

印刷物において、「色」は重要な要素の一つで、商品の良さを判断する要素であったり、印刷物の読みやすさ・わかりやすさに起因する要素でもあります。
そのため、印刷物の発注者と印刷会社の両者が色に関して共通した認識を持つ必要があります。
その重要さは、「色校正」という色の確認や作りこみを行う工程が存在することからもご理解頂けると思います。

印刷物をイメージした色に合わせる作業は非常にシビアな作業ですので、印刷会社ではお客様の「色」への要望にできる限り応えられるよう、品質テストや社内システムの調整を行ったり、色の再現性を高める設備を導入したりと日々、改善改良を図っています。

そんなシビアな作業である色合せでは、ちょっとした行動や要求が色合せを困難なものにしてしまうことがあります。
良い物を作ろうと企画やデザインに時間を使ってきたのに、ちょっとした行動で仕上がった印刷物がイメージとかけ離れた色になってしまっては元も子もありません。

そこで、本記事では、印刷物の色合せを失敗に導いてしまう行動とその解決方法をご紹介します。

まずは色校正の原則を知ろう

印刷物の色合わせに失敗する4つの行動と解決法をご紹介する前に、色校正の原則を理解する必要があります。
色校正に関しては、「イメージ通りの印刷物をつくるために、印刷物の担当初心者が知っておくべき「色校正」について」で詳しく解説していますので読んでおきましょう。

簡単にいうと色校正は、最終的な印刷物の色をどのようにしたいかを検討し、シミュレーションを重ねることで最終的な印刷物の色見本を作りあげる作業です。
そして、色校正を正しく機能させるためには、印刷物を製造する印刷機が基準になるという原則を理解する必要があります。

色校正の流れ
色校正の流れ

印刷会社では、印刷物をイメージ通りの色に仕上げるために、カラーマッチングが可能なシステムを構築し、そのシステムをもとに各設備を運用しています。
このシステムの基準となるのが印刷物を製造する印刷機です。
印刷機は最終的な印刷物(顧客に納品する製品)を作る機械なので、この印刷機が表現できる色にマッチングさせることがシステムの役割となります。
裏を返せば、システムから逸脱する行動や要求をしてしまうと、印刷機が表現できる色の範囲を超えてしまい、イメージ通りの色に仕上げることが難しくなってしまいます。

印刷物をつくるのは、あくまで印刷会社ですので、上記の原則を理解し、システムから逸脱するような行動や要求は控えましょう。

それでは、印刷物の色合せに失敗してしまう行動について、詳細と解決方法を解説していきます。

1.毎回異なる場所で色の確認をする

打合せや会議は、大抵会社の会議室で行われると思いますが、気分転換に近くのカフェであったり、レストランなどでランチを食べながらであったりと場所を特定しないこともあると思います。
一般的な打合せや会議の場合は、全く問題ないことですが、色校正の確認など色合わせに関する打合せを行う場合は、毎回場所を変えることはお勧めできません。

理由は、印刷物の色を見るという行為が環境に左右されやすいためです。
例えば、照明の違いです。
同じ印刷物であっても、白色の蛍光灯の下で見た時は赤・青・黄色など各色をしっかり認識できますが、オレンジ色の白熱灯の下で見ると全ての色が赤みがかった色に見えてしまいます。
また、照明以外にも、天気や部屋の壁の色といった場合でも色の見え方が違ってきます。

色にこだわりがあって、何度も色校正を繰り返す場合は前回の色校正と見比べることになります。その時確認する環境が前回と異なってしまうと色の見え方が変わってしまい、正しい判断ができなくなってしまいます。
もちろん、完成した印刷物と色校正を見比べる場合も同じことがいえます。

印刷物の色を確認する場合は正しく色を認識できる場所(白色の蛍光灯がある、窓際を避けるなど)を選び、可能な限り同じ環境で確認を行いましょう。
また、環境とは少し異なりますが、サングラスやブルーライトカットメガネ装着している場合も色の見え方が異なるので、裸眼か普通のメガネで確認するようにしましょう。

2.自前のプリンターで出力したものを見本にする

長年、印刷に携わっていると、たまに自前のプリンターで出力したものを見本として、色校正や最終印刷物の色を合わせてほしいと要求してくる方がいますが、これも失敗する行動の一つです。

理由は、印刷方式やインクの違いがカラーマッチングシステムから逸脱するためです。
このような要求をしてくる場合の自前プリンターはオフィス用のレーザープリンターか家庭用のインクジェットプリンターがほとんどです。
レーザープリンターは、トナーという粉状のインクを熱で紙に圧着させる方式で、家庭用のインクジェットプリンターは液体インクを紙に噴射する方式です。
印刷機と似ている部分は少なからずありますが、まったく異なる方式だと言っても過言はありません。
印刷物の色合わせは最終印刷物を製造する印刷機が基準になると伝えているように、上記のような仕様のプリンターで出力したものに印刷物の色を合わせることは不可能といえます。

このような要求が発生してしまうのは、印刷物の担当者が自前のプリンターで出力したもので上司や関係者に確認をとってしまうことが多いからです。
多くの関係者に必要な説明がないまま(色校正という作業への理解不足ですが...)、自前のプリンターで出力したもので確認をとってしまったために、「この前確認したものにOKを出したんだ」となってしまい、正しい方法での色の確認ができないといった事態になってしまうのです。

印刷物の担当者は、本業と兼務である場合が多いので準備をする時間が限られていることも重々承知しますが、自前のプリンターで出力したもので社内の関係者に確認を取る場合は、あくまで内容やデザイン、レイアウトの確認までとして、色の確認は印刷会社が用意した色校正紙で確認する必要があることを必ず伝えましょう。

印刷物の色合わせは、ちょっとした方式や素材の違いで失敗してしまいます。
そのため、自社の設備は使用せず、印刷会社が用意している正しい方法に沿って行いましょう。
また、自社設備だけでなく、他の印刷会社が印刷したものを見本にする行為もシステムや資材の違いで色合わせが不可能なので控えましょう。

3.自前のパソコンのディスプレイの色に合わせてと要求する

これもたまにある失敗行動の一つです。
2と同じようにカラーマッチングシステムから逸脱する行動なので、絶対に色は合いません。

ディスプレイの色と印刷物の色が合わない根本的な原因は「原色」の違いにあります。
「原色」とは混ぜ合わせることで様々な色を表現できる、独立した色の組み合わせのことです。
ディスプレイの色は、赤・緑・青という3つの原色の光を混ぜ合わせて様々な色を表現する加法混合で表現されています。
この3つの原色は「光の三原色」と言い、3つを等しく混ぜ合わせると白色の光になります。

一方、印刷物などの物理的な物の色(インクや絵の具などの色料)は、シアン・マゼンタ・イエローという3つの原色の色料を混ぜ合わせて様々な色を表現する減法混合で表現されています。
この3つの原色は「色の三原色(または色料の三原色)」と言い、3つを等しく混ぜ合わせると黒色になります。
この「光の三原色」と「色の三原色」では、表現できる色の範囲が異なるため、ディスプレイと印刷物で同一の色を再現することはできないのです。

ディスプレイに合わせたいという要求をする方は、自分の見ているものが正しい色なので合わせたいと考えている場合がほとんどです。
しかし、最終製品は印刷物であり、ディスプレイに映しだされているものは中間データに過ぎません。
そのため、ディスプレイの色を見本とせず、最終製品を基準とした色校正で色を作りこむ必要があることを肝に銘じてください。

4.古い印刷物の色に合わせてと要求する

印刷物を増刷する場合、同じ印刷会社であれば手元にある現物を見本として支給すると思います。
この行動自体は間違いではありませんが、その現物がいつ印刷されたものか注意する必要があります。

例えば、その現物が5年も前に印刷された古いものだと、紙やインクが経年劣化により変色している可能性があります。
また、日にあたっていたなど保管方法が悪いと1〜2年前のものでも劣化が早く、変色してしまいます。
そのような状態のものを見本としても色を合わせることはできません。
もし、支給する見本が古く、劣化している場合は、もう一度色校正を行い、きちんとした見本を作成しましょう。

また、上記と似た事例として、DICなどのカラーチップで色を指定する場合の問題があります。
これは、カラーチップでの色の指定を口頭で行ったが、自前のカラーチップと印刷会社のカラーチップの製造時期が異なっていたため、指定した色と違ってしまったという問題です。
どちらも同じメーカーのカラーチップではありますが、製造時期の違いでどちらか一方が変色しているという場合があります。
色の指定にカラーチップを使用する場合は、口頭で指定をせず、自前のカラーチップを渡すか、印刷会社のカラーチップで指示を出すようにしましょう。

まとめ

印刷物の色合わせに失敗する原因は、色合わせの原則や構造を理解していない場合がほとんどです。
そして、この構造を理解するということは、物事をうまく進めるための必須条件でもあります。
何事も構造を理解した上で、行動や要求をする必要があると思います。

本記事では、印刷物の色合わせに失敗する4つの行動と成功に導くための解決法をご紹介しました。
あなたもこの記事の内容を参考に正しい行動を取ることで、イメージ通りの印刷物に仕上げることができるはずです。