製品の強みである「良い音」を体験という切り口で伝えるカタログのデザイン

2017年11月30日

製品の強みである「良い音」を体験という切り口で伝えるカタログのデザイン
【オリオン電機株式会社様】

AV機器(オーディオ・ビジュアル)や情報関連機器などのメーカーであるオリオン電機株式会社様。越前漆器、越前和紙、越前焼などの伝統工芸で有名な福井県に本社を構え、長年ものづくりに励んできた国内メーカーです。
組織再編を機に、新たなチャレンジに向けてスタートしたオリオン電機様は、良い音にこだわった小・中型のテレビ「極音(きわね)」を開発。
当社は極音の良さを伝えるため、極音を使うことで得られる体験を切り口としたデザインを提案しました。

技術寄りのコミュニケーションでは極音の良さが伝わらない

オリオン電機様が開発した「極音」は、昨今の液晶テレビの音質に対する不満を解消することを目的に、スピーカー、筐体の構造、回路など様々な要素の設計にこだわり抜くことで実現した「良い音で見るテレビ」です。
テレビに「良い音」という要素を加える事で、テレビ放送だけでなく、ミュージックコンテンツや映画、ネット動画など、自分らしい楽しみ方を見つけて欲しいという思いが込められています。
その「極音」の良さを伝えることを目的としたカタログの作成をご依頼頂きました。

カタログなどの印刷物は、文字や写真といった視覚表現で構成されますが、極音の良さである「音」は目に見えない要素であるため、技術寄りの言葉や製品写真ではその良さがなかなか伝わらないといえます。
初回のヒアリングで、担当者様もその点に関しては理解されていましたが、どうしても言葉や見せ方が技術寄りになってしまい、極音の良さがうまく伝えられないという悩みを抱えていました。

極音の良さを伝えるコミュニケーションの切り口を探る

まずは市場調査を行い、各社がどのような切り口で伝えているかを調査しました。
POP、カタログ、Webなどを調査した結果、テレビのコミュニケーションは基本的に機能や技術を切り口としていることがわかりました。
極音の特長である「音の良さ」を「高音質」と捉えると機能や技術に関する要素といえますが、前述した通り、見えない要素である「音」を機能や技術を切り口に伝えることは難しい。
さらに、他社と同じ方法でのコミュニケーションでは埋もれやすく、大手メーカーのブランド力に敵わないという課題も挙げられました。

以上のことから、課題を解決しつつ極音の良さを伝える「差別化」されたコミュニケーションの切り口を検討した結果、「極音」を使うことでどのような体験ができるかという「体験」をコミュニケーションの切り口としました。

極音から得られる「体験」をシンプルな言葉で表現

「体験」を切り口とすることが決まり、いよいよカタログの内容の検討に移りました。
まずは、極音を一言で表すコンセプトから検討していきました。
極音を使うことで得られる具体的な「体験」を「喜び、楽しみ、切なさといった様々な感動体験」と捉え、「テレビ」「良い音」「感動体験」をキーワードとしてコンセプトを検討。
その結果、「良い音で見るって、すばらしい。」というコンセプトを作成しました。
「感動体験」を「すばらしい」というシンプルな言葉に置き換え、極音の特長である音の良さを強調しながらも、テレビであることも伝わるコンセプトになったと思います。

その後は、コンセプトをわかりやすく説明するステイトメントや極音の「音の良さ」を伝える説明文などを作成していきました。
ステイトメントはコンセプトを軸に、感動体験をイメージさせること、開発ストーリーを伝えること、といった点をわかりやすい言葉で表現しました。

提出したデザイン提案資料
デザイン提案資料の一部

作成したコンセプトとステイトメント

良い音で見るって、すばらしい。

好きなアーティストの演奏で、心が安らいだり。
頑張るスポーツ選手の姿で、応援に熱が入ったり。
切ないストーリーの映画に涙したり。
みんなとゲームを楽しんで、笑いあったり。

良い音で映像を楽しむことができたら、もっと多様な感動を生みだすことができる。
そんな想いを胸に、極音は生まれました。

極音は、テレビのプロとオーディオのプロのこだわりの設計によって実現した、
「良い音で見るテレビ」です。
その音は、聴き取りやすいことはもちろん、
アーティストが創りだす繊細な音までも再現することができます。

良い音で見るって、すばらしい。
極音と共に、あなた色の感動を探してみてはいかがでしょうか。

ここからは余談になりますが、「体験」という切り口で進めようとなった理由に「極音」の存在があります。
初回のヒアリングで極音の音を体験したのですが、従来の液晶テレビとは段違いの音質で、音の深さと広がりにより空間全体が音に包まれたような感覚になりました。
オーディオにはあまり詳しくないわたしたちでもその音を聞いただけで「すごい!!家にあるテレビと全然違う!!」と思わず声をあげてしまった程です。
上記のステイトメントも、極音の音を実際に体験したからこそ素直に表現できたと感じています。
(極音に興味を持たれた方は、オリオン電機株式会社様のWebサイトをご覧ください。)

人の表情で「体験」を感覚的に伝えるデザイン

カタログのデザインコンセプトは"自分らしい楽しみ方で様々な感動体験を得ることができる"ことを意識した「あなた色の感動」と定めました。
キービジュアルは、喜び、楽しみ、切なさといった様々な感動体験を表すことができる「人の表情」とし、デザインを検討していきました。

キーワードである「感動体験」を主に伝える役割りのページとして、カタログの表紙をデザイン。
デザインコンセプトである「あなた色の感動」を表現するため、キービジュアルである「人の表情」の写真を様々なシーン(家族、一人、喜び、癒やし等)で用意し、ページ全体に散りばめたデザインとしました。こうすることで、誰もが自分らしい楽しみ方を見つけられる製品であることを表現しています。

中面は、上段に「人の表情」とステイトメントを配置し、下段に極音の特長である「良い音」にフォーカスした機能の説明を記載しました。機能説明はオーディオに詳しくない方でも理解できるようにできる限り簡潔な表現をお客様と検討しました。
裏面は、音以外の機能や仕様情報などの細かい情報のページとしています。

表紙のデザイン・全体イメージ ステイトメント・機能説明・仕様のデザイン 表紙・中面の拡大イメージ 中面の拡大イメージ

新しいスタートを伝えるチラシ

今回のカタログには、組織再編を機に、新たなチャレンジに向けてスタートしたオリオン電機様のメッセージを添えたチラシを挟んでいます。
チラシでは、新生オリオンとして始動したこと、福井県に本社を構える国内メーカーであること、2つの事業を柱としてチャレンジしていくことが述べられています。
こちらのチラシも企画デザイン室で文章やデザインを提案し、作成しました。

メッセージチラシのデザイン

仕様

  • A4サイズ(カタログ・チラシ共に)
  • 4ページ 二つ折り(チラシ挟み込み)
  • 制作:2017年

プロジェクトの流れ

STEP1

デザイン提案準備・制作作業素材準備
  • 資料の読み解き、市場調査
  • 企画・デザイン、デザイン提案資料の作成
  • 写真選定

STEP2

担当者との打合せ(数回)制作作業
  • ヒアリング
  • デザイン提案資料を元にディスカッション
  • ページデザインのブラッシュアップ
  • 写真加工
  • 校正作業

STEP3

製造
  • 印刷(当社のUV印刷機で印刷)
  • 折り加工
  • 納品